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腰痛治療が180度変わった! [健康常識ウソ・ホント]

健康常識ウソ・ホント(34) 

腰痛治療のコペルニクス的転回


腰痛の大半は背骨に関係しているもので、非常に強く痛む急性期と、鈍い痛みが長くつづく慢性期の二つに分けられる。

治療法の方針は、急性期にはなるべく背骨に負担をかけないこと。

「死んだつもりで寝ていなさい」というのが、ごく近年までえんえんと信じられてきた整形外科の「常識」だった。

ドイツ人が、魔女の一撃(ヘキセンシュス)と呼ぶ、ぎっくり腰などの急性腰痛は、一撃をくらったとたん、動けなくなる。

痛みが治まるまではひたすら安静を保つよう指導された。

ところが、安静期間が長くなるほど治りが遅くなり、再発を招きやすく、腰痛が慢性化することがわかって、いまは「動ける範囲内で動く」が世界の常識になっている。

日本整形外科学会と日本腰痛学会が5年がかりでまとめた『腰痛診療ガイドライン2012』にも、

「急性腰痛は、痛みがなくなるまで安静にするのではなく、できるだけ早く体を動かす」とある。

なぜ、安静がよくないのか? 

「大きな理由の一つとして<髄核>のずれが考えられます」と、東京大医学部附属病院22世紀医療センターの松平浩特任教授(運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座)。

背骨は30個以上の短い骨(椎骨)のつながりで、椎骨と椎骨の間には薄い円盤状の椎間板がはさまっている。

椎間板の中央には、ゼリー状の髄核があり、それを線維輪という硬い組織が囲んでいる。髄核の特徴は移動しやすいことなので、パソコン作業などで長時間前かがみの姿勢を続けると、髄核が椎間板の後ろ側に向かってずれてくる。

一方、長時間の立ち仕事などでは髄核は椎間板の前側に向かってずれる。

ぎっくり腰も、くしゃみや重い物を持ち上げるといった急な動作によって、髄核がずれて起こる。

髄核が大きくずれて線維輪が傷つくと、線維輪には神経の末端が接しているため、激痛が生じる。

髄核がよりいっそう大きくずれて、線維輪を突破して外に飛び出した状態が、椎間板ヘルニアだ。

ぎっくり腰や慢性腰痛の場合、椎間板ヘルニアほど髄核は大きくずれてない。適切に体を動かせば元の位置に戻すことができる。

痛いからといって安静を保ちすぎると、髄核のずれが元に戻りにくくなり、痛みが慢性化し、新たに線維輪が傷ついて強い痛みが再発する。

髄核のずれを戻すには、腰を反らすか、かがめるシンプルな体操が効果的。

髄核が後ろ側にずれた前かがみの作業などのあとは、足を軽く開き、上体をゆっくり反らす。息を吐きながら1~2回、繰り返す。

髄核が前側にずれた長時間の立ち仕事のあとなどは、イスに腰かけ、足を肩幅より広めに開き、ゆっくり背中を丸める。これも息を吐きながら1~2回繰り返す。

歯みがきになぞらえて「腰みがき」と名づけた、このシンプル体操を日常の習慣にすれば、腰痛の予防・改善効果が得られる。

腰痛の8割以上は原因不明、心配し過ぎるとかえって悪化しやすい。

しかし、がん、骨折、ヘルニアなど原因のある腰痛は、早く見つけて元の病気を治さなければいけない。

自分の腰痛はどちらかの見分け方、ぎっくり腰や慢性腰痛を自分で治す方法など、松平浩著『「腰痛持ち」をやめる本』(マキノ出版)は、最新の調査研究に基づく最良のガイドブックだ。
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