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「年寄りの冷や水」は是か非か? [健康常識ウソ・ホント]

健康常識ウソ・ホント(29) 

「年寄りの冷や水」は是か非か?


いろはカルタ。

昔はどこの家にもあり、正月遊びの定番だった。

「犬も歩けば棒に当たる」ではじまる「江戸いろは(犬棒カルタ)」の「と」は、「年寄りの冷や水」である。

意味は説明するまでもないだろうが、念のため『広辞苑』をめくってみた。

「年寄の冷水(体の衰えた老人が生水を飲むことから)老人に不似合いな危ういことをするたとえ。また、老人が差し出たふるまいをすることをいう。」=『広辞苑』第六版。

衛生環境のわるいところの「生水」に気をつけなければならないのは、老人だけではない。

また、「冷え万病説」を説く医師にいわせると、「冷や水」がよくないのはわかりきったことだろう。老若男女を問わず。

だが、水を飲むことの大切さは、それとは別だ。

年寄りだろうが、赤ん坊だろうが、水は「いのちの素」である。

なにも食べなくても、水だけ飲んでいれば3~4週間は生きていられるが、水を1滴も飲まなかったら4日で死んでしまう。

体の中の水分すなわち体液の量は、新生児は体重の約80%、成人男性は約60%、女性は約55%だ。

女性は男性よりも体に脂肪が多いので、そのぶん水分の割合が少なくなる。

そして年をとるにつれてしだいにへって、老人では体重の50%かそれ以下になる。

つまり人の一生を体液量の推移でみると、80%-50%=30%ということになる。

で、「老化とは乾燥の過程である」といわれる。

体の中の水分は、体温の調節、全身の組織への栄養と酸素の供給、組織からの老廃物の排出などの役目を果たしている。

体重の2~3%に相当する水分が失われると、体温上昇が目立ちはじめ、循環機能に影響が出る。

汗をかいたとき、それと同量の水を飲まないと、脱水状態を招き、体温が上がり、体力を消耗する。

ひどい場合は熱中症になり命にかかわる。

そこまでいかなくても、汗をかき、尿が濃くなると、尿路結石(腎臓結石、尿管結石、膀胱結石)ができやすい。

尿酸の体外への排出が悪くなるから痛風発作も起こりやすい。

どちらも中高年の男性に特に多い病気である。ゴルフのとき、コースへ出る前などは忘れずに水を飲んでおくべきだ。

炎天下、のどをカラカラにしながら(そのほうがあとのビールがうまい、などといって)、プレイに励むなど生命知らずの蛮勇といわねばならない。

水分の不足で意外と気がつかないのが、便秘、食欲不振、乳幼児の夏季熱。

水をたっぷり飲むようにしたら便秘が治ったとか、夜泣きする赤ちゃんに水を飲ませたら泣きやんだなど、よく聞くはなしである。

心筋梗塞や脳梗塞のような血管の詰まる病気が朝方起こりやすいのも、体内の水分不足が大きな一因といわれる。

寝ている間の発汗や不感蒸泄で体内の水分がへり、血液が濃縮し、血栓ができ、血管が詰まりやすくなるというわけ。

これを防ぐため夜寝る前と、朝起きがけに水を飲むように勧められる。

水分の摂取がきびしく制限される、ある種の腎臓病や心臓病の人を除いて、だれでも1日約2.5㍑の水分の補給が必要だ。

「年寄りの冷や水」の原句は、「年寄りの礼水(れいすい)」であり、後世の人が「礼水」を「冷水」と書き違えたか、「礼水(あやみず)」を「冷水(ひやみず)」と聞き違えたのだろうという説もある。

水のおかげで長生きできたのだから、水に礼をいわねばならぬという意味だそうだ。

国語学的にはどうか知らないが、生理学的には一理ある説だ。

水をきちんと飲めば、皮膚の老化も防ぐ。

これがホントの水もしたたるよい男、だ。
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