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「接してもらさず」はナンセンス [健康常識ウソ・ホント]

健康常識ウソ・ホント(28)

「接してもらさず」はナンセンス


正月の晩には、♪年の始めの例(ため)しとて マツタケ立てて…と歌にもうたわれているように、正月の晩の祭典が家ごとに行われることになっている(笑)。

これを「ひめはじめ」というのはご存じのとおりである。

「歳時記」を開いてみると、

ほこ長し天が下照る姫はじめ   望一

なんて、ずいぶん威勢のいい句もあれば、

埋火(うもれび)にあるほとぼりやひめ始   草太郎

と、いささか精力減退気味の一句もある。

この埋もれ火型男性に、昔から信奉?されてきた「健康常識」が、れいの「接してもらさず」である。

周知のようにこれは貝原益軒の「養生訓」から出た言葉で、原文はこんなふうである。

「孫真人が千金方に、房中補益の説あり。

年四十に至らば、房中の術を行うべしとて、その説、すこぶるつまびらかなり。

その大意は、四十以後、血気ようやく衰うるゆえ、精気をもらさずして、ただしばしば交接すべし。

かくのごとくすれば、元気へらず、血気めぐりて、補益となる、といえるこころなり」(『養生訓』巻四)

40過ぎると、だんだん精力が衰えてくるので、もう射精はしないようにして、セックスはちょいちょいやるべし。

そうすれば、ホルモンがへらず、体内をめぐるから、精力が衰えない。

―というアドバイスである。

中国唐時代の医家、孫真人の著書『千金方』は、千金よりも尊い人の生命を救うための処方箋(しょほうせん)として重んじられた。

いまから1000年以上も昔の唐代の人の40歳は、生理年齢的にみて現代人の何歳ぐらいに当たるだろうか?

50歳、いや、60歳は超えるのではないだろうか。

だとしたら、その年になって「血気(生命を維持する身体の力。血液と気力)ようやく衰える」のは、まあ自然な老化現象といえるだろう。

そういう人はもう精液をもらしてはいけない。

しかし、交接はしばしば行うほうがよい、

もらさなかった精液は体中をめぐって元気の素になるだろう。

孫先生も、その説を受け売りした益軒先生も、そう信じておられたわけである。

外分泌と内分泌の違いを知らなかった時代の人が考えそうなナンセンスな説である。

もらさなかった精液が体をめぐるなんてことはありえない。

また、精液自体、そんなにまでしてケチらなきゃならないようなものではない。

精液の97%は水で、残り3%のほとんどは精子に栄養を補給するための栄養素(たんぱく質、糖質、ビタミン、ミネラルなど)と生理活性物質のプロスタグランディンで、その栄養的価値は唾液と大差ない。

そして射精で消費されるエネルギーは、せいぜい50~70㌔㌍。

これは階段を10段くらい上がる程度でしかない。

つまり階段を10段も上がると息切れしてフーフーいうような人や、ツバを吐くのもモッタイないと思う人でなかったら、エネルギー消費という点で射精をセーブする必要はまったくないのである。

だいいち、それでは相手に対しても失礼ではないか。

手抜き投球の途中降板みたいなものではないか。

やはり出すべきものは、景気よく出したほうがよい。ボーナスのように……。
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