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「小さく産んで─」は迷信 [健康常識ウソ・ホント]

健康常識ウソ・ホント(18)  

「小さく産んで─」は迷信

妊娠出産は、女性の生涯最大のイベントの一つだから、古来、虚実ごちゃまぜ(虚のほうがずっと多い)のさまざまな民間療法的助言がいわれてきた。

そのなかでもっともよく知られているのが、「小さく産んで大きく育てよ」である。

赤ちゃんが大きすぎると、産道につかえて難産になる。小さな赤ちゃんだとらくに出てくる。

そこで臨月にはなるべく体を動かし、赤ちゃんの発育を抑えたほうがよい─というのである。
このもっともらしい助言にはウソが二つある。

①母体が動こうが動くまいが、そんなこととは関係なく、赤ちゃんは大きくなる。胎児は自律的に成長していく生命なのだから─。

②お産のときは、ふだんは緊張している産道がやわらかくなって、児頭が通れるくらい骨盤腔いっぱいに広がる。

狭骨盤のような病的な骨盤でない限り、赤ちゃんが大きすぎてつかえるなどということはない。

お産の重い軽いは、胎児の大小には関係なく、陣痛(子宮筋肉の収縮)の大小に左右される。
胎児が正常の発育をして大きいと、陣痛も大きく、安産である。

胎児の発育が悪く小さいと、微弱陣痛のためにお産が長引き、難産になる。

それなのに、「小さく産んで…」の前時代的迷信がいまも信じられているのだろうか。

赤ちゃんがだんだん小さくなっているのだ。

厚生労働省の乳幼児身体発育調査によると、赤ちゃんが最も大きかったのは、1980年。

男児の出生時体重は平均3230㌘、女児のそれは平均3160㌘だった。

以来、年ごとに小さくなり続けて2010年には男の子が平均2980㌘、女の子が平均2910㌘。

どちらも250㌘減った

背景に、若い女性のスリム化と、少子化で初産の割合がふえたことがある、という。

低体重の女性が妊娠すると、低体重児を出産する傾向があり、その子が成長すると生活習慣病になりやすい。

ヨーロッパで栄養状態が悪かった1930~40年の新生児を追跡調査したデータから導かれた仮説だ。

近年の日本の調査研究でもそのことが実証されている。

名古屋大の玉腰浩司教授(公衆衛生学)らの調査(35~66歳の男女約3100人)によると、出生時の体重が2500~3000㌘のグループは高血圧(最高140以上、最低90以上)の比率が26.1%で、3000~3500㌘は22.8%、3500㌘以上は19.4%─と、出生時体重が少ないほど、高血圧の割合が高い傾向がみられた。

新潟大医歯学総合病院の内山聖院長(小児科)や菊池透小児科講師らの調査では、出生時体重が軽いほど、インスリンの働きが弱いなど糖尿病になるリスクが高かった。

このように、小さく産まれた低体重児は、将来の生活習慣病の予備群になりやすい。

半面、妊娠中に体重がふえ過ぎる「妊娠肥満」にも問題がある。

妊娠糖尿病や妊娠高血圧症(妊娠中毒症)のリスクが高くなりやすい。

妊娠による体重増加は、体格による個人差はあるが、一般的には7~10キロ程度が望ましい。

妊娠中に大切なのは、適切・適量の食事と適切な運動を続けること。
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