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つばき、万病のくすりか? [健康常識ウソ・ホント]

健康常識ウソ・ホント(11)  

つばき、万病のくすりか?

昔、昭和ヒトケタ世代の子どもは、ケンカや遊びでケガをすると、

「ツバキ、万病のクスリ」と唱えながら傷口につばをつけたものだ。

ことわざ辞典にもちゃんと載っている。

「唾(つばき)万病の薬【意味】つばは薬になるという俗説。こういって傷口などにもぬる」(『故事ことわざ辞典』=東京堂版)。

いまでもナイフやキリなどを使いそこねて、「イテッ!」という瞬間、思わず指を口に持っていくのは、だれでもやっている。

バンドエイドが手近になかったり、あっても根がケチだったりすると、そのまま放っておくことも多い。> はたして、つばは傷薬の代用になるのか?

調べてみたら、なるようでもあり、ならないようでもある。

つば(唾液)のなかにはさまざまな有用成分が含まれている。

主なものだけを挙げてみる。

食物を包み込んで嚥下(えんげ)しやすくするムチン。

でんぶんを分解するアミラーゼ(ジアスターゼ)。

味覚の働きを敏感にするガスチン。

歯を守るカルシウム。

カルシウムと結合して歯を強くするスタテリン。

発がん物質の力を弱めるラクとオキシターゼ。

体内のシアン(青酸)を解毒するチオシアン。

──といったあんばい。

そして、ここからがキズに関係あるのだが、唾液中の微量の青酸と硫黄がくっついてできるロダン・過酸化酵素やリゾチームという酵素には殺菌作用がある。

だが、あらゆる細菌に対してオールマイティに効くわけではない。

その守備範囲と実力を将棋のコマにたとえると、桂馬か香車といったところのようだ。

反面、唾液の中には細菌の活動を促す物質も含まれている。

さいわい口の中ではほとんどが不活性だが、いったん外に出ると、細菌の活動を7割かたスピードアップさせる。

つまり、ツバは、口の中にあるときは大したスグレモノで、だから口の中のキズはとても治りやすいわけだ。

しかし、口の外へ出ると、とたんに効力が激減するだけでなく、キズ口などの有害菌の活動を活発にしかねない。

結論。

ケガをしたとき、自分の口をじかに傷口に当てて、傷を吸ってきれいにするのは理にかなっている。

しかし、指先にツバをつけて傷口に塗るのは有害無益。

まして他人のキズにツバをつけてやるなんて、非衛生以外のなんでもない。

人によっては、エイズや肝炎ウイルスをうつしてしまうことだってあるだろう。

ケガをしたら(自分で治せる程度の小さなケガだったら)、水道の水を流しっぱなしにして傷口を洗い、クスリをつけて消毒するのがいちばんだ。

あ、いや、「クスリをつけて消毒」はマチガイ、ウソ、であることが証明されている。

それについては次回に──。

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