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コンブと髪の毛 [健康常識ウソ・ホント]

健康常識ウソ・ホント(8)

コンブと髪の毛

男にとって、AGA(早くいえばハゲ)と、ED(漢字で書けば勃起不全)と、どちらがより重大問題か?

小生の小さな見聞では、どうも前者のほうのようである。

製薬会社は新薬を発売するとき、医学・医療担当の報道関係者を対象とした説明会を開催する。

多くのばあい、新聞・雑誌・放送の記者たち、小生のようなフリーランスのライターなど50人ばかりが集まる。

だが「バイアグラ」発売のさいは様相一変。

参集した記者の数はいつもの2倍以上、100人を超え、その空前の人数が、このクスリに対する社会的関心の強さを現していた。

しかし、「リアップ」のときはさらにすごかった。

なんと200人を突破する記者たちが詰めかけて、仄聞だが、大いによろこんだ広報担当者が、「勝った!」と叫んだそうだ。

ご存じのとおり、バイアグラはEDの治療薬で、リアップはAGAへの育毛剤である。

すなわち、ハゲがインポに「勝った」わけだ。

リアップ発売の記者会見は、経団連会館のホールで行われた。

ちょっと遅刻した小生は、もう下の階のドアは閉めきったからと、2階席へ通された。

席について見下ろすと、1階のホールは黒い頭で埋めつくされていた。

隅から隅まで見渡しても、毛髪の過疎化の著しい頭部はたった2コしか発見できなかった。

つまり、リアップ発表会に集まった記者たちのなかで、ハゲは小生を含めて3人しかいなかった。

「なるほど、男たちはみんな先行きの心配をしてるんだなあ」と思ったものだ。

─というところで「コンブと髪の毛」の話。

ハゲ防止にコンブ、という昔からよく知られている俗信はどこからきたのだろう。

たぶん、海藻(とくにコンブ)にはヨードが多く含まれているのが、誤解のもとではないだろうか。

ヨードは、甲状腺にとってなくてはならない物質である。
甲状腺はヨードを主たる材料にしてホルモンをつくる。

この甲状腺ホルモンの役目は、体の新陳代謝の刺激だ。

ヨードが不足すると、甲状腺の機能が低下し、新陳代謝が不活発になる。

甲状腺機能低下症とか単純性甲状腺腫といった病気が、それだ。

その症状の一つとして、毛髪が艶を失い、もろく折れやすくなり、脱毛が起こる。

ヨードが欠乏するとハゲる。だったらヨード(コンブ)を食べればよいという短絡思考。

それが、ハゲにコンブの由来ではないだろうか。

だが、大陸内部や山岳地帯の住民ならともかく、日本人の食生活でヨード不足による甲状腺疾患はほとんど考えられない。

そもそも、そんな病気による脱毛症と、AGA(Androgenetic Alopecia=男性型脱毛症)とは何の関係もない。

コンブなんかじゃ、われらのハゲは絶対止められないのだ。

そのことは、同憂の男性諸兄全員、とっくに体験ずみの事実のはずである。

だが……、いまだに食卓にコンブを見つけると、ついいそいそと箸を出してしまうのは、なぜだろうか?
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