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後ろ歩きのすすめ [健康雑談]

「しわがよる ほくろができる 腰まがる 頭がぼける ひげ白くなる」

 江戸後期の禅僧・仙厓(せんがい=1750~1837)が描いた『老人六歌仙画賛』冒頭の一首として広く知られている狂歌です。

 が、狂歌の作者は仙厓ではなくて、俳人・横井也有(よこいやゆう=1702~83)といわれています。

 同時代にそのことを紹介した本が2冊あります。

 江戸南町奉行・根岸鎮衛(ねぎしやすもり=1737~1815)の『耳嚢(みみぶくろ)』と、九州平戸藩主・松浦静山(まつらせいざん=1760~1841)の『甲子夜話(かっしやわ)』です。

 仙厓和尚は『耳嚢』か『甲子夜話』のどちらか(あるいは両方)によって、この鋭く飄逸な自己観察の狂歌を知り、『老人六歌仙画賛』を描いたのでしょう。

 もしかしたら『甲子夜話』のほうだったかもしれません。

 生涯、九州黒田藩に仕えた和尚は、福岡、博多はもとより近辺各地の人びとと親しく交わったと伝えられているからです。

 前おきが長くなりました。

 今回のテーマは「後ろ歩き」です。昔は老人といえば「腰まがる」ものだったようですが、今はあまり極端に腰の曲がった人は見かけません。

 それでも年をとってくると、どうしても体が前に曲がり気味になりがちで、それが老年の体型の特徴といえます。

 この、前に曲がりがちな姿勢を矯正するのに効果的なのが、後ろ歩き運動です。

 人間はいつも前にばかり歩いているので、そのときにはお尻や脚の筋肉を使って、おなかの筋肉はほとんど使いません。

 歩くときに限らず、現代人の生活ではあまり腹筋が使われないところへもってきて、中年になって腹が出てくると、腹筋の力が落ち、しぜん前かがみの姿勢になってきます。
 
 しかし、後ろ歩きをするときには、腹筋をよく使い、背すじや腰が伸びます。

 体が前に曲がっていたのでは、とても後ろ歩きはしづらいからです。

 1日1回、たとえば、朝起きたら4歩、5歩、前に歩いて、後ろ向きのままでそれだけ下がる。再び前へ歩き、後ろへ下がる。

 腕を軽く振り、1歩、1歩、踏みしめるようにゆっくりと、前へ、後ろへ歩く。

 これを10分間もやれば、1時間の散歩をしたぐらいの運動になるし、長く続けるうちに自然と姿勢もよくなります。

 さらにもう一つ、後ろ歩きの効用は、目を使わないため感覚系の神経が集中することです。前へ歩くときと違って、五感をとぎすますようにして、注意深く後ろへ足を運ぶ─これがいいのです。
 
 ずいぶん以前の話ですが、バレリーナの森下洋子さんにお話をうかがったとき、バレエでは後ろ歩きの訓練をしますか、とたずねたら、それが非常に重要なことなのですという返事でした。

 後ろ歩きをすることで、感覚が鋭敏になり、姿勢も美しくなる。

 慣れると前に歩くのと同じくらいのスピードで後ろ歩きができるようになりますと、おっしゃいました。
 
 自慢じゃないけど、私も、その点だけはバレリーナ並みです。

 毎日夕方、家の近くの荒川の堤防上に作られた自転車・歩行者専用道路を、1時間ばかり歩くことにしていますが、その3分の1は後ろ歩きをします。

 平坦な直線路なので、そんなことができるのですが、後ろ向きでスイスイ歩いていると、すれ違う人や自転車は上手によけてくれます。一度もぶつかったりしたことはありません。

 もう20年以上も続けている習慣で、いまや「趣味は昼寝、特技は後ろ歩き」と豪語?しているくらいです。

 そのおかげだろうと思うのですが、腰痛やひざ痛を知りません。

 後ろ歩きは、最初はどうしても「かかと歩き」になって、10㍍もやると太ももの後ろ側が痛くなりますが、慣れると、足の指で歩いて、200㍍でも300㍍でもへっちゃらになります。

 うしろ歩き、おすすめします。まずは4歩、5歩ずつ、前へ、後ろへ、練習してみてください。
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