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寝転んで〝らくらく禅〟 [健康雑談]

「座禅」は、やったことのない人でも、その姿かたちだけならだれでも知っています。「座って行う禅の修業」です。

 これに対して「寝禅(ねぜん)」とか「仰臥禅(ぎょうがぜん)」というのがあります。

 文字通り仰向けに寝てやる禅のことです。

 初めて聞いたときは、ずいぶんぐうたらな禅だな、それって、ただのごろ寝じゃないの? と思いました。

 大違いでした。

 もとをたどると、江戸中期の高僧、白隠禅師の名著『夜船閑話(やせんかんな)』に説かれている「内観の法」に行きつく禅的健康法だそうです。

 正式のやり方は、放下著(ほうげちゃく=禅語で「何もかも放り出してしまいなさい」という意味)、調身(身を調える=仰向けに寝て、両手を組み臍下丹田に置く)、数息観(すそくかん=出入りの息を数えながら、丹田呼吸をする)といったふうでややこしいのですが、次のような略式のやり方でもよいと、寝禅に詳しい医師が教えてくれました。

 そのやり方はこうです。

 仰向けに寝て、足を伸ばし、体の力を抜き、ゆったりとくつろぎます。

 雑念をいっさい払いのけて、心をカラッポにします。

 両手の手のひらを下腹に当て、ゆっくりと腹式呼吸をします。心の中で「ひとーつ」「ふたーつ」と唱えながら、鼻から息を吸い、鼻から息を吐き出します。
 
 腹をふくらませながら吸い、へこませながら吐きます。吸う息が5~6秒なら、吐く息は7~8秒とやや長めにするのがよいとされています。
 
 このとき、脳波を測った実験では、α(アルファ)波が多くみられたそうです。

 脳波は、波長によってα波、β(ベータ)波、θ(シータ)波、δ(デルタ)波と4種類に分けられます。
 
 α波は、ストレスや緊張から解放され、心身がリラックスした状態のときに現れます。

 静かに目をつぶっているときや、よい香りをかいだり、小川のせせらぎや小鳥のさえずりを聴いたりすると、α波が多く現れて、心が安らぎ、脳が活性化されて、集中力や思考力が高まることがわかっています。
 
 仰向けに寝るのは、だれでもできる最も楽な姿勢ですから、寝禅は、病床の人、足の悪い人、お年寄り、子ども…万人向きの健康法といえます。

 時と所さえよければ、いつ、どこでやってもいいのですが、いちばん適しているのは、夜寝るときか、朝起きる前の寝床の中です。行う時間は20~30分です。

 毎日つづけていると、自律神経が安定し、血液の循環がよくなり、心臓や肺、肝臓、胃腸が丈夫になり、気持ちが落ち着き、頭がよくはたらく…など効果は計り知れない─と、寝禅を推奨する医師は言います。
 
 実際、血圧が下がった、頭痛、肩こりが軽快した、胃腸のぐあいがよくなった、ノイローゼや神経症が改善された、不眠症が治った…など、さまざまな臨床例が報告されています。

 白隠禅師は、若年のころ、肺の病に苦しみ、極度の精神的不調に陥りました。

 そのとき、洛外白河の山中に隠棲する白幽子という仙人の話を伝え聞き、尋ねて行き、「内観の法」を親しく伝授されました。それをひたすら行うことにより、死をも覚悟した病から脱することができ、84歳の長寿を全うしました。

 73歳のとき著した『夜船閑話(やせんかんな)』にはその始終が詳しく述べられ、次のように結ばれています。
 
 「馬歯既に古稀を越えたりといへども、指すべき半点の小病もまたなき事は、彼の神術の余勲ならんか(年は70をこえたが、これという病気もないのは、あの神術─内観のおかげだろうか)」

 「痴鈍(ちどん)予が如く、労病予に類する底、看読して子細に観察せば、必ず少しき補ひならんか(私のように頭が悪くて、病気に苦しみ悩んでいる人が、この本を読んで研究してくだされば、きっと少しはお役に立つと思う)」

 なんと謙虚なことばでしょう。この人にしてこの言あり、と深く感銘するばかりです。

 寝禅、はじめてみませんか?
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