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健康雑談(9)日野原先生と難聴 [健康雑談]

 寂しい症状

 聖路加国際病院の日野原重明先生は、人間ドックに入った80歳近い人が、難聴をひどく気にしているので、

「あなたは内臓にはどこも悪いところがなくて、耳だけが少し悪いだけなのですから、よしとしなければ…」と慰めるつもりで言った。

 するとその人は、非常に寂しい顔をして答えた。

「先生は耳がよく聞こえるから、聞こえない者のつらさはおわかりにならない。先生、音の世界から隔離された人間は孤独ですよ」

 その言葉に心を打たれた先生は、こう記している。

「私はそれまで音の聞こえない人を、内臓に病気を持つ患者とは別個に考えていた。

 難聴は重い病気だと悟った。その日から老人を扱う内科医として難聴の勉強を始めた。

 そして、聴力の落ちた患者の気持ちを分かろうと努力した。

 先の患者は、私が軽んじていたことの中に大切な医学があることを教えてくれたのだ」

 医師と呼ばれる人にとってなにより大切なものは、病者の心を思いやる優しい想像力だと思う。

「医学はサイエンスだが、医療はパフォーマンスです」と日野原先生は話しておられる。
                      (『医師という隣人たち』ファイザー製薬株式会社刊)
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