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雑感小文 江戸の貧乏 [日記・雑感]

 いやあ、今日は昨日とは打って変わって上天気!

 昼下がり、荒川左岸(*)の堤防上につくられた自転車・歩行者専用の「健康の道」を歩いた。

 =中川が荒川と合流するところから下流の江戸川区側は「中川」と呼ばれている。それに従えば「荒川左岸」ではなく「中川」の堤防なのだが、それでは一般には通じにくいので━。

 陽光燦燦。

 小さなしわ波が川面いっぱいにひろがって下流へ動いている。斜陽の当たった水面がキラキラ光る幅広い帯をつくっている。

 見渡すかぎり淡い青色の空の、水平線に近い西南の向こうに白い雲の峰がゆったりと横たわっている。

 耳のわきをくすぐる微風が心地よい。

 明日も明後日もずっと毎日、こんな日がつづくといいな、と思った。

 古い俚諺が頭に浮かんだ。

「いつも三月常月夜、負わず借らずに子三人、女房十八我二十」

 「いつも3月のような陽気で、月の晩ばかりで、借金などなく、元気な子が3人いて、女房は18で、おれは20であったなら、もう言うことはないなぁ」

 明るくつましい庶民的願望だろう。

 昔の3月は今の4月、スモッグなどもなく、陽気はさらに一段と快適だっただろう。

 鈴木棠三・広田栄太郎編『故事ことわざ辞典』(東京堂版)を開くと、同類の俗言がいくつも出ている。

「いつも月夜に米のめし」

「いつも九月に常月夜、早稲(わせ)の飯にどじょう汁、余らず過ぎず子三人」

「いつも三月常月夜、減らない銭なら金三両、女房十八われ二十」

 減らない銭──には、笑った。まったくだ。それなら三両もあれば御の字だろう。

 小判などめったに拝めず、たまさかご入来にあずかっても、「これ小判せめて一晩居てくれろ」と懇願せずにはいられぬ暮らし向きだったわけだから…。

 それにしても、そんな江戸の暮らしを、ふとうらやましく感じるのは、現代のわが貧乏生活に思い屈するものがあるからか。

 いや、どうも、またしても不景気なぼやきになってしまった。
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