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健康雑談(4)津液吐くべからず [健康雑談]

 つば吐くべからず!

 海外生活の長かった友人と街を歩いているとき、

「日本人は道端に平気でつばを吐くなあ」といわれ、内心、恥じ入った。

 自分も周りに人の目のない道の独り歩きのときなど、ついやってしまうことがある。心すべし。

 あの益軒(または損軒)こと貝原篤信先生も、つば吐くべからず、と戒めている。

「津液(しんえき=唾液)は一身のうるほひ也。化して精血(血液の純粋なもの)となる。草木に精液なければ枯る。大せつの物也。津液は臓腑より口中に出づ。おしみて吐(はく)べからず。ことに遠くつばき吐べからず、気へる。」(『養生訓』巻第二)

 つばの99%は水分。1日平均1~1.5㍑、口の中に泉のようにわき出る。わき出るはじからのどへ流れ込んでしまう。

 水分以外の1%にはムチン、アルブミン、グロブリン、アミラーゼ、マルターゼ、リゾチームなど有用物質が含まれている。

 ムチンは、糖たんぱくでできている粘性物質。粘膜を潤し、粘膜の損傷を防ぐ。
 単純たんぱく質のアルブミンとグロブリンは、細胞の活動にかかわり免疫をたすける。

 アミラーゼ(唾液中のものはプチアリンともいう)とマルターゼは、でんぷんをブドウ糖に分解する消化酵素。

 リゾチームは細菌を溶かす殺菌酵素。

 米の飯をよく噛んでいると甘くなってくるのは、唾液中の消化酵素の作用で、でんぷんが糖分に変わるからだ。

 口の中の傷が早く治るのは、ムチンやリゾチームの効果だ。

 つばが出ないと、口の中がパサパサに乾いてしまう。

 乾いた食品がのみ込みにくい。

 舌や唇が痛い。

 味を感じない。

 虫歯や歯周病にもなりやすい。

 よく知られているシェーグレン症候群をはじめドライマウス(口腔乾燥症)に難渋している人は、とても多い。

 貴重なつばを吐いたりしたらバチが当たるゾ。

 つばをみだりに吐くのは、マナーに反するだけでなく、生理的にも罰点なのである。

 もっとも、ことわざにいう「つばきは万病の薬」はちょっとオーバー、マユツバもの。

 赤ちゃんにごはんを噛んで与えたり、傷口につばをつけたりするのは、非衛生的だ。

 キスによってうつる病気もある。

 小さな傷は、水道の水を流しっぱなしにして洗い、ばんそうこうを貼るのが一番。傷口からしみ出る体液のはたらきで痛みを和らげ、傷が早くきれいに治る。

 水もクスリもないとき口で吸って傷をきれいにするのは有効。ばい菌の数がへる。

 一方、痰(たん)は明らかに有害。

 益軒翁も、「津液をばのむべし。吐くべからず」に続けて、

「痰をば吐くべし、のむべからず。痰あらば紙にて取(とる)べし、遠くはくべからず。─略─痰、内にあれば、気をふさぎて、かへって害あり。此理(この理由)をしらざる人、痰を吐かずしてのむは、ひが事なり。」とのたまっている。  

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